洗濯にも使える安心・安全な洗剤の選び方とは!?

 

みなさまは、普段使用する洗剤はどのように選んでいるでしょうか?

洗剤のテレビCMはたくさんありますし、ドラッグストアに行けば、色々な洗剤があるので、選ぶのも大変ですよね。

「汚れがよく落ちそうだから」、「手にやさしそうだから」、「自然の成分が入っているから」、「パッケージがカワイイから」など、なんとなくで選んでいる人がほとんどなのではないでしょうか?

 

でも、ちょっと待ってください! なんとなくで洗剤を選ぶのは「危険」なんです! ということで、今回は、正しい洗剤の選び方についてご紹介します。

 

 

 

 

洗剤とせっけんの違いって何?

洗剤のお話をするには、まず、石鹸(せっけん)のお話から始めないといけません。昔の日本では(というか、世界中では)、汚れを落とすものは、石鹸しかありませんでした。石鹸は、天然の油脂を原料として作られます。紀元前からあるので、ものすごい歴史があります。

 

しかし、今から100年ほど前の第一次世界大戦中、ドイツでは食用油脂が不足して石鹸を作ることが困難になりました。そこで、研究を重ねて、天然の油脂ではなく、石油や石炭などの油脂から作ることができる石鹸の代替品が開発されました。これが洗剤の誕生のお話です。

 

そして、戦後になると、洗剤は日本でも急速に普及しました。各メーカー、天然の油脂から製造する石鹸だけでなく、天然の油脂と、石油の油脂をブレンドして様々な洗剤を製造・販売しました。

石油の油脂は、天然の油脂よりも安価で手に入る為、石油油脂が多く含まれた洗剤が増えていきました。

 

石鹸にも洗剤にも、洗浄成分(界面活性剤)が入っています。しかし、石油から作られる洗浄成分は、洗浄力がとても強いのです。その為、人体への悪影響が懸念されるようになりました。(環境への悪影響もありました)

特に、毎日、各家庭で使用する台所洗剤と洗濯洗剤に対しては、「より安全なもの」を望む声が増えてきました。そこで、昭和37年(1962年)に政府は、「家庭用品品質表示法」を公布し、洗剤を下記のように定義しました。

 

洗濯用又は台所用の石けんの定義(消費者庁より抜粋)

界面活性剤又は界面活性剤及び洗浄補助剤その他の添加剤から成り、その主たる洗浄の作用が純石けん分の界面活性作用によるもの(洗濯用の石けんについては、純石けん分の含有重量が界面活性剤の総含有重量の70%以上のものに限り、台所用の石けんについては60%以上のものに限る)。

※ここでいう「純石けん分」は、界面活性剤の一種であるが、脂肪酸塩であって、その含有率がJIS K3304(石けん試験方法)により求められるもの。


洗濯用に供されるものであって、純石けん分以外の界面活性剤を含有しないものは「洗濯用石けん」、含有するものは「洗濯用複合石けん」の用語を、台所用に供されるものであって、純石けん以外の界面活性剤を含有しないものは「台所用石けん」、含有するものは「台所用複合石けん」の用語を用いてそれぞれ表示する。

 

 

合成洗剤の定義(消費者庁より抜粋)

界面活性剤又は界面活性剤及び洗浄補助剤その他の添加剤から成り、その主たる洗浄作用が純石けん分以外の界面活性剤の界面活性作用によるもの(洗濯用は純石けん分以外の界面活性剤が界面活性剤の総含有重量の30%を超えるものに限り、台所用は40%を超えるものに限る)。研磨剤を含むもの及び化粧品を除く。

 

※ここでいう「純石けん分」は、界面活性剤の一種であるが、脂肪酸塩であって、その含有率がJIS K3304(石けん試験方法)により求められるもの。

 

うーん、ちょっと難しい用語があるから、混乱しますよね。ということで、ざっくり絵にしてみました。

 

台所用の洗剤とは、こういうことであり

 

洗濯用洗剤とは、こういうことです。

要は、純せっけん分(脂肪酸系の界面活性剤)の配合が少なかったら、合成洗剤ということです。

 

「合成」って聞くと、化学的な物質が配合されていて危険な感じがしますよね。言葉だけを聞くと、「せっけんは、安全で、「合成洗剤は、危険」 って感じがしますよね。でも本当にそうなのでしょうか。次に、石鹸について、まとめてみました。

 

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せっけんが一番安全なのか?

「せっけん」と聞くと、なんか天然とか、自然とか、肌にやさしい、という印象を持つ方は多いと思います。でも、それは日本人が勝手に抱いた、せっけんに対する印象です。

石鹸は水に溶けるとアルカリ性になります。人間の皮膚は弱酸性なので、石鹸でゴシゴシ手を洗ったり、身体を洗うと、皮膚が乾燥してしまいます。石鹸で顔を洗うと顔がつっぱりますよね。

 

最近では、「子供がいるから、洗濯用洗剤は、せっけん系にした」 という家庭もあります。でも、洗濯用のせっけんは、洗浄力をアップする為に「炭酸ナトリウム(炭酸塩)」というアルカリ剤が配合されている場合が多いです。お肌の弱い方は、アルカリ剤で肌荒れをするかもしれません。

 

また、アルカリ剤があまり配合されていない洗濯用せっけんの場合は、別の問題が発生します。まず、洗濯機の中が酸性になり、石鹸の洗浄力が低下します。そして、水の中に含まれるマグネシウムなどの酸性の金属イオンと反応が促進され、石鹸カスを作ります。石鹸カスは、水質汚染の原因にもなり、環境にも良くないです。

なので、せっけんは必ずしも、安心・安全とはいえないのです。

 

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合成洗剤は危険なのか?

せっけんが、必ずしも安心・安全でないのなら、合成洗剤はどうなのでしょうか? 確かに、多くの合成洗剤は、安価で人体に悪い石油系の油脂を使用し、洗浄成分を作っています。せっけん以上に危険だと思います。

しかし、先ほどご紹介した「家庭用品品質表示法」が公布されたのは、昭和37年(1962年)です。もう半世紀以上も前のことになります。 現在は、肌にもやさしく、環境にもやさしい洗浄剤(界面活性剤)が開発されています。

 

なので、合成洗剤のすべてが危険というわけではないのです。「合成」という名前だけの印象で、すべてが危険と判断するのは、偏見です。 例えるなら、「東京の人達は、田舎の人達と違って、みんな冷たい」と言っているようなものです。東京にだって、人助けをする人はいますし、ご近所づきあいが上手な人もいます。

 

配合されている洗浄剤(界面活性剤)は、容器の裏面にある成分表を見れば確認できます。成分表示は、多く配合されている順に記載してあります。なので、一番上に書いてある洗浄剤(界面活性剤)が最も多く配合されている洗浄剤です。

 

 

 

無添加なら安心なのか?

どんな成分が体に悪いのか、ということを調べていると、けっこう大変です。容器の裏面は字も小さいし、聞いたことがないカタカナが多く並んでいますしね。そういう方が、ついつい好んでしまう言葉が「無添加」です。

 

「無添加」とラベルに大きく表示されている商品はたくさんありますよね。「無添加」ってなんか悪い成分が添加されてなくて、体に良さそうな感じがしますよね。実際、「無添加だから、この洗剤を買っています」という人も多いのではないでしょうか。しかし、「無添加」とは直訳すると、「添加していません」という意味です。いったい、何を添加していないのでしょうか?

 

実は、この「何を」に関しては、記載していない商品がほとんどです。現状、「何かを」無添加にすれば、「無添加」と名乗ってしまってもOKなのです。なので、「香料無添加」でもいいし、「保存料無添加」でもいいんです。「無添加」という言葉は、単なるイメージでしかありません。必ずしも安全ではないということを覚えておいてください。

 

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もっと簡単に見分ける方法はないのか?

ここまで、お話すると、洗剤選びはとても大変だと感じた方も多いのではないでしょうか。「難しい成分の勉強をする時間がない」という方もいらっしゃると思います。そういう方の為に、もう少し簡単に洗剤を見分ける方法をお伝えします。

ポイントは、たったの3つ。

1.植物由来の成分であること

2.万能洗剤であること

3.生分解性が、99 % 以上であること

です。

「植物由来」とは、洗浄成分(界面活性剤)も植物由来ということです。石油由来と違い、植物由来は肌にも低刺激です。

「万能洗剤」とは、台所や洗濯機だけでなく、家の様々な場所で使える洗剤のことです。野菜も洗える万能洗剤であれば、より安心だと思います。

「生分解性」とは、物質が土中や水中の微生物によって分解される性質のことをいいます。OECD試験ガイドラインで規定されている生分解性試験(化審法 301C)では、BOD分解度が60%以上のものを良分解物質と定めていますので、99%以上であれば、かなりの良分解物質ということになります。ゆえに、「環境に有害でない」ということは、「人体にも有害でない」ということになります。

 

よく、市販の洗剤で「地球にやさしい洗剤です」とか、「環境にも配慮した洗剤です」などがありますが、生分解性の数値まで公表している洗剤は多くありません。なぜなら、生分解性が、99 % 以上の洗剤を作るのは簡単ではないからです。

 

この3つの条件をすべて満たしていれば、安心・安全な洗剤といっていいでしょう!

 

いかがでしたでしょうか。

洗剤は、シャンプーと同じく、ほぼ毎日使うものです。なので、やさしいものを使いたいですよね。「洗浄力」と「安さ」を優先してしまいがちですが、これからは「成分」についてもこだわっていきましょう!

 

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